森敬斗を考える ~スーパースター候補の成長と現在地~

考えるシリーズ

こんにちは!三浦ベイ輔です。

本日は森敬斗選手について書いてみたいと思います。

2019年にドラフト1位で高卒ルーキーとしてベイスターズに入団した森選手。
・長年弱みであるショート
・高校日本代表
・久しぶりの高卒ドラ1
・地元高校出身

とファンが期待する要素が詰め込まれた森選手。
そんな森選手の今季成績はこちらです。

1軍
打率 .167
HR 0
OPS .397

2軍
打率 .249
HR 2
OPS .655

中々期待通りの成績を残すことが出来ず、1軍でのレギュラー定着とはいきませんでした。
もどかしく感じているファンの方も多いのではないでしょうか?

今年は2軍中心で過ごすことになった森選手でしたが、果たしてどのような1年だったのか。
成長点や課題を客観的に整理していきたいと思います。

アプローチの改善

まず森選手において今年最も改善した点は”アプローチ”の部分だと考えて良いでしょう。

森敬斗(2軍)
K%(三振率)
2021年 24.9%
2022年 28.8%
2023年 20.7%

BB%(四球率)
2021年 5.7%
2022年 5.8%
2023年 8.3% 

「三振を減らして、四球を増やす」ということは打者として極めて重要な要素。
三振率も四球率もいずれも今年がキャリアハイと大幅に改善したことがお分かり頂けると思います。
昨年の2軍での山本祐大選手もここが大幅に良化し、今年のブレイクに繋がりました。
森選手のようなタイプであれば20%は切ってほしい部分もありますが、しっかりと改善を見せられたことは来季への期待に繋がるでしょう。

Whiff%(空振/スイング)
2021年 27.4%
2022年 30.0%
2023年 22.2%

三振が減った要因の一つにコンタクト率の上昇があると思われます。
Whiff%は今年大幅に良化。チーム内でも上位の数値でした。
コンタクト能力がしっかりと身についてきたことはポジティブなポイントですね。

ストライクゾーンスイング率
2021年 76.3%
2022年 82.6%
2023年 70.7%

四球率の上昇に関しては、スイング率の変化が大きく関係しているように見えます。
元々ゾーンスイング率が極めて高く、ゾーンに来た球はほぼスイングするスタンスに見えた森選手。
今年も決してスイング率が低いわけではないのですが、浅いカウントでは今までよりも狙い球を絞って打席に立つようになったように見えました。

ボール球コンタクト率
2021年 58.4%
2022年 61.5%
2023年 71.1%

もう一つ大きな変化はボール球コンタクト率の上昇でしょう。
ボール球を振らなくなったわけではないのですが、追い込まれてから打ちにいきながらも、ボール球も当てて逃げることができるようになってきたように見えています。
今年1軍でも阪神の才木投手相手に粘って粘って四球をもぎ取ったシーンがありました。
コンタクト率が上がり、追い込まれてからの対応力が上がったことがよくわかるシーンだったように思います。

ISO(長打力)
2021年 .114
2022年 .043
2023年 .092

アプローチが改善にしたところで懸念となるのが長打力ですが、キャリアハイだったた2021年水準近くまで戻すことが出来ました。それほど長打を落とさずアプローチを改善させたことは良かった部分だと思います。

コンタクト率、追い込まれてからの対応が改善され、長打を落とさずにアプローチを改善させたところは来季に向けて素直に喜んで良い点だと思っています。

打球傾向の変化

もう一つ森選手に関して変化している点は“打球が上がるようになった”点でしょう。

ゴロ割合
2021年 47.7%
2023年 44.9%

ライナー割合
2021年 12.5%
2023年 14.1%

フライ割合(内野フライを除く)
2021年 21.5%
2023年 28.5%

昨年、1軍ではゴロ率65.9%と打球に角度を付けるのに苦戦した森選手。
今年はゴロを減らし、ライナー性の当たりや外野への飛球を増やすことができました。
打球に角度をつけるのは上手くなってきたようには感じますので、長打がより出るようになる可能性はまだまだ秘めているように思います。

高い守備走塁能力

そして森選手と言えば高いレベルの守備や走塁。
昨年1軍でも指標的にプラスを出し、能力の高さを見せてくれましたが今年も健在でした。

ショート守備指標
RngR(打球処理による貢献) 5.7
UZR 5.3

守備範囲を表すRngRは300イニング以上守ったファームのショートの中で、西武滝澤選手に次ぐ2番目の数値。そしてUZRもファーム3番目の数値。
決して失策が少ない選手ではないのですが、広い守備範囲を活かした高い守備力はDeNAにとって必要な要素。ここは引き続き大きな強みとして捉えてよい部分だと思っています。

BsR(総合走塁貢献)
2023年 4.6

総合走塁貢献指標は4.6と200打席以上のファーム選手の中で4番目の数値。
平均的な選手より、4.6点多く走塁にて得点を生み出したことになります。
初年度はこの指標が0.9点だった森選手。成長も感じますし、走塁面も大きな強みとなっているでしょう。

守備、走塁で計算できる選手にはなっている森選手。
ショートを守る上でとても重要な要素ですので好材料の部分だと思います。

課題

一方で課題の部分も考えてみましょう。
まず1点は”左投手への対応”でしょう。

2023年 対左投手(2軍)
打率 .190
OPS .524
K% 23.7%

今年は1軍ショートの対左が打率.179、OPS.460と苦しんでいたシーズン。
森選手も2軍で対左においてかなり苦しんでいたシーズンではありました。
左打者が多いDeNAショート勢において、対左への対応で一歩リードした選手は大きくレギュラーに近づくと思いますが、ここが中々改善しなかったのは苦しいシーズンになってしまった理由の一つになるでしょう。

しかし一方で対左における意識の変化も見えた今シーズン。

対左投手 逆方向への打球割合
2021年 20.8%
2022年 33.3%
2023年 37.1%

無理に引っ張るのではなく、逆方向へ強くスイングすることをかなり意識していたようには見えていましたが、数字にも表れています。
この意識がプラスに働いてくれれば改善する可能性もありそうです。

2点目が“ストレートへの対応”でしょう。

対ストレートOPS .658
wFA(ストレートに対する得点貢献) -1.6

直球に対するOPSはこの3年間で最も低い数値。
wFAでも大きくプラスを生み出せた年はまだありません。
2軍は1軍よりも平均球速が3km/hほど遅く、1軍で活躍するためには高いレベルで直球に対応できている必要がありますが、まだ速球への対応が十分なレベルにあるとは言えないでしょう。

1軍への露出が多かった蝦名選手、梶原選手、知野選手などは2軍において対直球で高い得点貢献を生み出しており、おそらく求められてくる部分。
今年1軍で日ハム田中正義選手のストレートを弾き返す姿を見ただけにもどかしいところですが、ここは課題として取り組んでほしいところです。

最後に…

いかがだったでしょうか?

今年は2軍で過ごす時間が長かった森選手。
オープン戦の不振や7月に調子が上がってきた段階での怪我など中々タイミングに恵まれず苦しい1年にはなりましたが、成長点も見られた1年ではありました。

1軍でも高いレベルの守備走塁能力からプラスを生み出せる選手ですが、本人のキャリア全体で考えた時に、2軍で打撃の課題に取り組みアプローチを改善させたこの1年はプラスに働くと信じています。

CSでの林選手の活躍や石上選手のドラフト指名等本人としても思うところはあるはず。
素材が一級品なのは紛れもない事実ですので、来年はショート候補生たちと切磋琢磨し、1軍のレギュラー、ひいては日本代表のレギュラーを目指して頑張ってほしいと思っています。

頑張れ!森選手!

※データはOne Point Zero Two|1.02 (1point02.jp)より引用

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