こんにちは!三浦ベイ輔です。
本日は我らがキャプテン佐野恵太選手について考えていきたいと思います。
2016年にドラフト9位で入団して以降、毎年着実に成長を重ね、コンスタントに3割を目指せる素晴らしいバッターに成長しました。
今年からは1番という新しい役割に挑戦している佐野選手。
ここまでの主要打撃成績はこちらです。
打率 :.255 本塁打 : 8 打点 : 26 出塁率 :.336 OPS :.751 2023/6/7時点
このように主要成績だけを見てみると物足りないと感じる人も多いかと思います。
1番という役割が正解であるのか疑問に感じる方もいるでしょう。
そこでそもそも佐野選手がどのような選手なのか。
今年の佐野選手にどのような変化が起きているのか。
そして打順は適性なのか。
データから考察してみたいと思います。
佐野選手の特殊能力
佐野選手の特徴。それは「選球眼」に尽きると思っています。
佐野選手の選球眼を表すデータはこちらです。
BB%(四球割合) :10.1% ボール球見極め率 :76.2% IsoD(四球のみでの出塁率) :.080
四球割合は宮崎選手に次ぐチーム2位そしてボール球見極め率およびIsoDはチームトップです。
一般的にこのような指標は年度相関性が高く、調子によって左右されにくい指標です。
打率よりも信頼できる指標であることは間違いなく、チームで1.2を争う選球眼および高い出塁能力を持っていると言えるでしょう。
ただ佐野選手の凄みはただ単に出塁能力が高いことだけではありません。
1打席あたり平均球数 :3.58 ストライクスイング率 :67.3%
これが何を示すのか。比較として阪神の高出塁率コンビ、近本選手と中野選手のデータを見てみましょう。
近本 1打席あたり平均球数 :4.53 ストライクスイング率 :50.0% 中野 1打席あたり平均球数 :4.26 ストライクスイング率 :53.3%
近本選手も中野選手も今年に入って出塁率が大幅に改善した選手ですが、二人ともスイング率を抑えて球数を稼ぐというアプローチをしているように見えます。
対して佐野選手は決して待球をしているわけでなく、積極的に振りにいっていることがわかるかと思います。
「積極的にスイングしつつも、高い四球率、出塁能力を有していること」
これが佐野選手の凄みであり、特殊能力であるといえるでしょう。
一方でこのスタイルになっている背景には佐野選手の弱みが関係していることも事実です。
それは「追い込まれることに弱い」という点です。
2ストライクからの打率 :.179 Put Away%(2ストからの三振率):16.3%
打率も大きく下がりますし、佐野選手のコンタクト率からすると三振も多くなります。
また、前述の平均球数から見ても決して打席で粘れる選手ではないこともわかるかと思います。
追い込まれる前に勝負することは佐野選手にとっては必要なことであり、意識的にやっていることであると言えます。
よく早打ちの是非が議論の対象になりますが、「早打ち」は自身の弱みを消すための手段であるという考え方もできますね。
でも…尚更意味わかんなくないですか?
「早いカウントから勝負するし、追い込まれたら粘れないのに、四球率は高い」
なおさら変態的で、不思議な特殊能力を有していると考えていいでしょう。
“佐野選手の調子が悪い”は本当か?
高い出塁能力を有していることは述べましたが打率を落としている佐野選手。
果たして佐野選手に何が起こっているのか。
2020年のキャリアハイシーズンとある指標を比較してみましょう。
2020年 佐野恵太選手 Hard%(強い打球の割合):42.7% GB%(ゴロ割合) :49.0% K%(三振割合) :12.9%
2023年 佐野恵太選手 Hard%(強い打球の割合):41.6% GB%(ゴロ割合) :50.0% K%(三振割合) :14.3%
実は打撃の内容自体はキャリアハイシーズンとそれほど変わらないというのが私の考えです。
強い打球の割合はそれほど変化はなく、相変わらずチーム内2位の高水準。
打球が上がっていないのかと思いきや、ゴロ率も変わらない。
三振率は多少上がっているので多少が打率が下がることは想定できますが、それにしても下がりすぎでは?という印象です。
そこでBABIPを見てみましょう
BABIP 2020年:.343 2023年:.271
BABIPとはフェアゾーンに飛んだ打球のうちヒットになった割合を指すものです。打者は打球を飛ばす場所をコントロールできないことから.300に収束する指標と言われており、運を数値化するのに用いられています。
一般的に.300よりも大きく外れている場合は運が良い、大きく下回る場合は運が悪いと考えれています。
・佐野選手の打球の質は例年と大きく変わらないこと。
・BABIPが.300を大きく下回っていることから
“佐野選手は調子が悪いのではなく、運が悪い”
という仮説は成立すると考えます。
もう一つ打率が下がっている要因として考えうるのは佐野シフトの存在でしょうか。
佐野選手は引っ張り率が約50%と典型的なプルヒッターであることから、シフトを敷かれることが多い選手です。
佐野シフトが有効に作用し、BABIPが下がり打率も影響を受けているというのは可能性としてはあると思います。
これに関しては当時と今年のシフト採用率のデータがないので、検証は難しいところですが、可能性として触れておきたいと思います。
1番打者としての適性
最後にここまで述べてきたことを踏まえ、巷で度々議論になる一番佐野の是非についても言及しておきます。
結論から申し上げると僕は佐野選手の一番起用に賛成寄りの意見です。
セイバーメトリクス的には一番打者に求められることは
OPSが高く、特に出塁能力が高い選手
とされています。
※各打順に求められている役割についてはセイバーメトリクスにて答えが出ています。
DELTAさんがわかりやすい動画を作られているので興味ある方はYoutubeで「DELTA 打順論」とかで調べてみてください。
この考え方で考えると
候補としては佐野、関根、宮崎となるでしょう。(牧は4番固定かつソトオースティンは併用のため除外)
・調子に左右されにくいBB%、Isodが優秀であること
・打率は下振れ傾向にあり、これから上がる可能性があること。
・2番打者の方が走力における優先順位が高いこと。
・宮崎選手は足の状態に不安を抱えており、休ませながらの起用となること。
を鑑みると、個人的には1番佐野は理にかなった起用であると感じます。
ただ一つ懸念点があるとすれば、前述したとおり、佐野シフトが佐野選手の打率に大きく影響を与えている場合です。
一番打者はランナー無しで打席が回ってくる可能性が高い打順であり、よりシフトを敷かれやすいことは佐野選手にとってマイナスに働く可能性もあります。
仮にシフトの影響を大きく受けているということが証明されるのであれば、2番や3番での起用も選択肢に入るのではと考えています。
とはいいつつも、最近はランナー1塁でもゲッツーシフトを引かずに1.2塁間を締めて守られるケースもあるので、一概には言えないのが難しいところです。
個人的には1番関根、2番佐野はちょっと見てみたい気持ちもありますね。
以上が佐野選手の打順に対する私の見解です。
色々と語りましたが、打順による効果は限定的で、どの打順であってもシーズン総得点期待値は4.5点しか変わりません。
その4.5点のためにファン同士で対立したり、采配に心無い批判するのはとても生産性のない行為だと思っています。
打順論なんてあくまで好みであり、野球を楽しむためのちょっとした要素にしかすぎません。
不満がある方も「俺はこの打順が好き」「この打順が見てみたい」程度に留めて、楽しく見守っていきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
佐野選手の積極的にスイングをしつつも四球を選べる特殊能力。
そして今シーズンのここまでの成績と1番適性。
決して絶好調とは言えないシーズンを送っている佐野選手ですが、決して悲観的になりすぎる必要はありません。そしてシーズンは長いです。
悪いところを探すのではなく、選手の性質や特徴をポジティブに捉えながら、一緒に応援していきましょう!
※データはOne Point Zero Two|1.02 (1point02.jp)より引用
※チーム内順位は規定到達選手内の順位
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