山本祐大を考える ~今年の成長と垣間見える打席内での意識~

考えるシリーズ

こんにちは!三浦ベイ輔です。

今回はみんな大好き山本祐大選手について書いてみたいと思います。

今年に入ってから大きな成長を見せ、順調に起用機会を増やしてきた山本選手。
最近は正捕手の座を手中に収めつつあります。

そんな山本選手のここまでの成績はこちらです。

打率 .292
HR 3
OPS .771

元々肩含め守備に定評があった選手でしたが、今年は打撃が大成長。
一時は打率3割、OPSも.800を超えるなど素晴らしい成績を残しています。

では何故山本選手の打撃が急成長を見せたのか。
何が大きく変化したのか。

具体的に見ていきましょう。

アプローチの変化

山本選手の変化を表すうえで一番大きなポイントは打席内での「アプローチ」だと思っています。
1軍にて100打席以上の打席に立った2021年から今年までの推移を見てみましょう。

2021年
三振率:24.3%
四球率:3.6%

2023年
三振率:11.2%
四球率:9.2%

三振率は大きく下がり、四球率は倍以上になっています。「三振を減らし、四球を増やす」が理想的な打席でのアプローチになりますが、これが両立できる選手は決して多くないです。
今年のベイスターズで言えば戸柱選手と京田選手くらい。戸柱選手に関しては今年がOPSキャリアハイですし、京田選手も出塁率はほぼキャリアハイですので、やはり有効なアプローチであることがわかります。

昨年は2軍で三振率7.5%、四球率10.8%を記録し、アプローチが大きく向上した山本選手。
今年は1軍でも成長した部分を発揮してくれており、打撃が大きく成長した要因と言えるでしょう。

Contact%(コンタクト率)
2021年:75.6%
2023年:85.3%

三振が減った要因はわかりやすく、空振りが減ったことでしょう。
チーム内で山本選手より空振りしていないのは、宮崎選手と大和選手のみ。
いつのまにかチーム内で有数のコンタクトヒッターに成長しました。
三振率が大幅に減ったのも納得ですね。

では何故四球も増やすことができたのか。
今年山本選手に起こったもう一つの大きな変化があります。

Swing%(スイング率)
2022年:55.2%
2023年:39.8%

スイング率は昨年まで1軍でも2軍でも50%前後を推移していましたが、今年は40%前後。
このスイング率の低さはチームトップ。リーグでも5本の指に入るレベルの少なさです。

ここまでスイング率が下がるケースは珍しく、「消極的」と捉える人もいるかもしれませんが、ここは「より狙い球を絞るようになった」と捉えた方が適切かもしれません。

スイング率を下げることは「三振率と相関せず、四球率は増える」というデータもあり、阪神打線についてはこれで大成功を収めている側面もあります。

山本選手も今年から「より狙い球を絞る」ことで、四球を増やすことができたように見えています。

「コンタクト率の上昇」+「より狙い球を絞るアプローチ」

この2点が上手く作用し、“三振を減らし、四球を増やす”ことが出来ているのだと考えています。

垣間見える打席での意識

もう一つ、山本選手の特徴を表す、面白いデータがあります。

追い込まれる前 
打率.271
本塁打 3

追い込まれた後 
打率.298
本塁打 0

まさかの2ストライクからの打率の方が高い山本選手。
少なくともベイスターズにこのような選手は他にはいません。

ただ単にコンタクト率が上がっただけでなく、追い込まれてから良い打球を打てていることが良くわかります。
特に2S-0B、2S-1Bの時の打率は.361。相手の決め球を仕留めることが出来ているのは面白いですね。

ここは本人もインタビューで語っていたフォームの変化が大きいでしょう。
「反動を使わず振ることで、よりボールを長く見れることができるようになった」と語っていたことがデータにも表れていますね。
追い込まれてからこのような対応が出来ていることが、上記で述べた「スイング率の低下」にも繋がっているのかもしれません。

一方で本塁打3本はいずれも追い込まれる前に放ったもの。

このカウント別の成績から推察するに、
「追い込まれるまでは狙い球を絞って長打狙い」

「追い込まれた後はコンタクトを意識し、相手の決め球に対応」

という意識で打席に立っているように見えます。

このように打席内でクレバーに立ち回っている姿は「キャッチャー」っぽくて素敵ですよね。

高い守備力

もう一つ山本選手を語る上で欠かせないのが”守備”。
元々強みであった高い守備力を遺憾なく発揮してくれています。

盗塁阻止率:.414
捕逸数:1

盗塁阻止率.414はリーグトップ。クイックとランナーケアの上手い東投手と組むケースが多かったのもありますが、素晴らしい阻止率を誇っています。

また捕逸数も1つのみ。300イニング以上守っている捕手だと最小タイの数字です。

そして捕手の能力で1番大事だと言われているフレーミングについても、アメリカのデータ分析会社のデータだと12球団で2番目の数値。本人もインタビュー上でこだわりを見せていましたが、捕手で一番失点抑止効果の高い指標ですので、引き続き意識して取り組んでほしいですね。

以上のことを考えると、すでに捕手としての能力は「リーグトップクラス」と表現しても良いように思えます。

リーグトップクラスの捕手能力を見せながらも、打撃でもOPS.800近い数字を目指せる選手。
なんとも夢のようですね。

最後に…

いかがだったでしょうか?
今年大躍進を遂げている山本選手。

元々強みだった捕手能力に加えて、打撃でも急成長を見せた山本選手。
いざ具体的に内容を見てみると、好成績を残せていることも納得のように見えます。

通常150打席のみの成績を今後も継続するものとして信用するのは危険ですが、これだけ打席内でのアプローチが素晴らしいと今後も期待したくなります。

ファームでは松尾選手も素晴らしい活躍を見せており、充実してきたベイスターズの捕手陣。
山本選手は松尾選手の高い壁として立ちはだかってほしいですね。

是非皆様も山本選手の打席の内容に注目してみてください!

※データは2023/9/11時点
※DELTA社、プロ野球データアーカイブ様より引用

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