DeNA新戦力を考える③ ~ローワン・ウィック~

新戦力

こんにちは!三浦ベイ輔です。

FA選手の動向も一段落し、ストーブリーグも終盤戦に差し掛かってきた今日この頃ですが、先日また新たに新戦力の獲得が発表されました。
助っ人としてローワン・ウィック選手を獲得。
MLB通算146試合登板の右のリリーバーです。

果たしてウィック選手はどのような選手なのか。
データを基に考えてみたいと思います。

高い奪三振能力

まずはMLB通算成績を見てみましょう。

MLB通算
146試合146イニング
防御率 3.82
K%(三振率) 24.8%
BB%(四球率) 10.2%

まず特筆すべきは通算K%24.8%という高い奪三振能力。
リリーフという役割であれどこの数字は非常に優秀。
参考までに皆様がイメージしやすい選手と比較してみましょう。

MLB通算K%
バウアー 26.8%
ウィック 24.8%
パットン 23.6%
ウェンデルケン 22.2%
ロメロ 19.7%
ガゼルマン 17.9%
ウィーランド 11.1%

ここ数年ベイスターズに来た選手だとバウアー選手に次ぐレベルの高い通算三振率。
今年貴重な戦力になってくれたウェンデルケン選手やかつてセットアッパーとして大活躍してくれたパットン選手よりも高いのは素晴らしいですね。
BB%10.2%はメジャー平均(8.4%)と比べるとやや高いのがネックですが、ウェンデルケン投手も同等のBB%だったことを考えると決して壊滅的な数字ではありません。
NPBに来て良化する可能性もあるので期待したいですね。

今年はAAAでの登板が主となっていたウィック選手。
そんなAAAでの今年の成績はこちらです。

AAA成績(2023)
防御率 6.67
K% 32.0%
BB% 12.7%

BB%はより高くなってしまったものの、K%は32.0%と異常な数値。
NPBでも三振率が30%を超えてくるのは佐々木朗希選手や松井裕樹選手、ライデルマルティネス選手くらい。とにかく高い奪三振能力を持っていると考えて良いでしょう。

一方で防御率がかなり悪いのが気になるところですが、通常10%近くに収束するHR/FB(フライに占めるホームランの割合)が30%を超え、投手ではコントロールができないと言われているLOB%(残塁率)がリーグ平均の約70%を下回る50%代と運による影響も多く受けている印象。
なんとなく今年の山崎康晃選手のスタッツと同じ印象を感じますね。

さらにシーズン終盤にかけて状態が良くなってきたこともポジティブな点。9月以降で見るとK%46.7%、奪三振率18.90とさらに凄まじい奪三振率を見せるなど、凄まじい成績を残しました。
いい状態で来日してくれると思うので、期待したいですね。

球種構成と特徴

続いて球種構成を見てみましょう。

2022年は基本的にはストレートが中心。投球の半分以上はストレートが占め、直球で押すスタイルであることが見受けられます。
ストレートは平均球速152km/hほどで縦成分が大きく、シュート成分が少ないボール。
回転効率も93%と高く、伸びのあるストレートと考えて良いでしょう。

リリースの位置が低く、かつエクステンションも長い(球持ちが良い)ため、高めのストレートを効果的に使う投手です。

変化球で最も使用されるはカーブ。
縦変化が大きく鋭く落ちるボールです。
最近はバウアー選手がカーブを有効に使っていましたが、ウェンデルケン投手、ガゼルマン投手もMLB時代にはそれほど使わなかったカーブの割合を日本に来てから増やすなど、球団として意識的に使っているボールのように思います。日本に来てからどのように変化するのか楽しみですね。

球種別Whiff%(空振/スイング)
ストレート 21.3%
カーブ 28.1%
カット 20.9%
※100球以上の球種
※2022年MLB成績

高い奪三振力を有するだけあり、どの球種でも空振りを奪えているのがポイント。
ストレートのWhiff%21.3%とこれをベイスターズ選手で超えているのは山崎選手と平良選手しかいません。高い空振率を誇るストレートであることがお分かり頂けるかと思います。

そしてカーブも空振りが奪える球種。バウアーのカーブの今年のWhiff%が29.5%であったので概ね同等の空振率を誇っています。決め球として期待したい球種ですね。

最後に…

いかがだったでしょうか?
エスコバー選手も抜けたところに新戦力として加入してくれたウィック選手。中継ぎの層を手厚くすることで上茶谷選手はじめ既存の中継ぎ選手の先発再転向等についても柔軟に動くことができるようになるかと思います。

やや制球面は気になるポイントにはなりますが、ウェンデルケン投手のように球威でカバーできる可能性も十分に有ります。
ストレートで空振りが取れてカーブを上手く使える投手はNPBでも活躍できる可能性は高いと思いますので、期待しましょう!

※データはBaseball Savant: Statcast, Trending MLB Players and Visualizations | baseballsavant.comFanGraphs Baseball | Baseball Statistics and Analysisより

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